ロンドンの大英博物館でもっとも貴重な収蔵品の一つが、ロゼッタストーンです(とはオーディオガイドの弁)。普通に入ると、最初に出会うのがこれです。エジプトから『返してほしい』と言われながらも、堂々と展示しています。
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日本の近隣国は歴史問題がどうのと争いたがっているようですが、こんなのを見ると、大航海時代にヨーロッパ諸国がしていたことのほうが、ずっとひどいと実感させられます。
ロゼッタストーンには、同じ内容が3つの文字(エジプトのヒエログリフと民衆文字、ギリシア文字)で刻まれていて、ヒエログリフの解読のカギとなったというのは有名なお話ですね。

1月16日の日経新聞に、作家の阿刀田高さんにより紹介されていたので、そのまま引用します。
高さ114センチ、幅72センチ、厚さ28センチ、重さ760キロ、暗黒色の石片で、平らな一面に細かい文字が刻まれている。エジプトはナイル川の河口の町、ロゼッタ(ラシード)で発見されて、その名もロゼッタストーン、大英博物館に展示されている。本来はほかの土地の神殿の石柱であったものを、再利用のために運ばれ、その断片が残っていた、という事情である。
だが、その歴史的な価値は高く、ガラス・ケースに飾られていると美術品の趣きさえある。
表面に3つの異なる文字、すなわち神聖文字、民衆文字、ギリシャ文字で、同じ勅令の一部分が掘られている。プトレマイオス5世王(紀元前3~2世紀)のころのものだ。このギリシャ文字を手がかりにして他の解読が可能となり、古代文明を明かす大きな発見となった。
ナポレオンのエジプト遠征の折に入手したが、スッタモンダのすえイギリスの所有となり、今はエジプトが返還を訴えている。文字の解読にもっとも功績のあったのはフランス人のシャンポリオンだが、イギリスの学者の研究もあったりして、ややこしい。さまざまな歴史を凝縮した石片として興味深い。(紀元前2世紀、大英博物館蔵)

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